目次
1.住宅のフロアコーティングが急速に増えています
ここ数年、住宅の新築やリフォーム時に住宅メーカーやリフォーム会社がお薦めするサービスにフロアコーティングがあります。これは、フローリング床に特殊な塗料によってコーティングすることにより、新築時の美観をそのまま保持する床表面を加工するサービスです。長期にわたってフローリング床の美観を保護することで、急速に人気が高まっているフロア加工です。
従来の住宅のフロアは、ワックスや塗装で美観と表面保護を行うことが多かったのですが、定期的なメンテナンスの必要性や耐久性が短く劣化しやすいことなど、快適な住宅性能を維持するためには、手間のかかる作業が欠かせません。その点フロアコーティングは、フローリング床に樹脂を使って強固な塗膜を形成することで長期間に渡り、メンテナンスの手間を減らすことが出来ます。快適な住環境を維持できるフロアコーティングについて、床加工の仕組みと得られる大きなメリットについて詳しくご紹介しましょう。
2.フロアコーティングとはどんなもの?
住宅のフロアコーティングとは、床材の表面に樹脂や塗装膜を作ることによって床材の劣化を防ぎ、長期にわたって新築時の床の美しさを保つ床面表面加工技術です。サービスを行う会社によって、表面をコートする樹脂や塗料によって違いはありますが、一般的な床材に施されている表面保護塗料に比べて高い耐久性と美観保持性能を持たせることが可能になります。掃除の簡単さや衛生的な環境を維持しやすくすることに加えて、スリップしづらくする機能を持つものもあり、室内の安全性や環境性能を高めることが可能です。
床材表面に保護膜を形成させる仕組みは、各施工会社によって塗料の成分や施工手法はさまざまですが、使用する塗料の機能性や耐久性の違い、塗装膜の厚さ、施工技術の違いなどによってフロアを保護できる期間はさまざまです。
3.どんな種類や施工方法があるの?
a.塗料の違いでフロアの機能は変わります
フロアコーティングは、塗料の違いによって施工方法や硬化(一般的に言う乾燥工程)させる方法にも違いがあります。塗料の違いによってコーティングの特性や耐久性が変わり、費用や施工性にも違いが現れます。樹脂には、紫外線硬化樹脂やガラス系、シリコン系などがあります。塗料には防水や防カビ、抗菌などの機能性を塗料に持たせることも可能で、フロアの保護はもちろん、清潔な室内環境や安全性の改善にも高い効果を発揮する加工技術だといえるでしょう。
b.施工方法と工期、耐久性に違いがあります。
施工方法は各社で使用する塗料によって違いがあります。保護膜を形成する塗料の特性の違いで、塗装方法や乾燥・硬化時間の差。また、施工後の養生期間や完成後に必要なメンテナンス方法などが変わるため、事前に確認しておきたいポイントです。それぞれに費用や耐久性や施工性の違いがあるので、下記の表を参考にしてそれぞれの特性を考えて選ぶといいでしょう。
UV | ガラス | シリコン | 水性ウレタン | ワックス | ||
特徴 | 主成分・塗膜 | ウレタンアクリレート | ケイ素 | シリコン | 水性2液ウレタン | アクリル・ウレタン |
硬化方式 | 紫外線硬化 | 自然硬化 | 自然硬化 | 自然硬化 | 自然硬化 | |
光沢 | ○ | △ | ○ | ○ | △ | |
厚み | 20〜30μ | 2〜4μ | 10〜15μ | 8〜15μ | 3〜5μ | |
硬度(鉛筆硬度) | 5H | 8H | 5H | HB〜3H | 2B | |
防滑性 | ◎ | △ | ○ | △ | △ | |
入居可能まで | 施工直後 | 施工後2日 | 施工後2日 | 施工後2日 | 施工後1日 | |
完全硬化期間 | 当日 | 1週間 | 1週間 | 1週間 | 3日 | |
リコート(再塗布) | ◎ | ✕ | △ | △ | ◎ | |
耐性 | 耐用年数 | 15〜20年 | 10〜15年 | 8〜10年 | 3〜5年 | 〜1年 |
耐汚染性 | ◎ | ◎ | ○ | △ | ✕ | |
耐摩耗性 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ✕ | |
耐割れ性 | ◎ | △ | ○ | ○ | ○ | |
耐溶剤性 | ◎ | ◎ | ○ | △ | ✕ | |
耐アルカリ性 | ◎ | ◎ | ○ | △ | ✕ | |
耐塩素性 | ◎ | ✕ | △ | ✕ | ✕ |
※当社調べ
4.フロアコーティングの3大メリット
a.床材の保護・耐久性の向上
フローリング床材には本来、表面のツヤの保護のため表面加工が施されています。しかし、その耐久性は生活活動や家具の移動、日光による日焼けや酸化によって急速に低下します。管理状態にもよりますが、光沢の低下や細かい傷などの経年劣化は、どの住宅でも避けることはできません。フロアコーティングは、床材表面を強力に保護し、日光の紫外線や空気中の酸素による酸化、温度や湿度による表面劣化を防ぐとともに、退色や腐食から守ってくれ美観を保つことができるのです。
b.掃除やメンテナンスの手間を減らします
フローリングの床は、床材の継ぎ目や表面の細かい傷や凹凸など、ほこりや汚れが蓄積しやすい箇所があります。汚れやほこりがたまった状態が長期化することで、床材の変色やカビの原因となります。また、空気中の水分を吸収したり酸化することで床材の耐久性にも影響を与えます。フロアコーティングを施工すると強固な塗膜を形成することで、床の表面の平滑性がきわめて高くなります。簡単な掃除で室内の清潔さを保てることは大きなメリットです。
c.お年寄りや乳幼児、ペットの安全性を高めます。
フロアコーティングは、床材表面を滑りにくくし、子供やお年寄りの安全性のためにも高い効果が得られます。表面加工を施すことによって通常の床材よりも耐すべり性能を持たせることも可能になり、転倒事故を防ぎ室内事故を予防する効果も得られます。また、室内でペットを飼う方には、床をフロアコーティングによって滑りにくくすることで、ペットの足を滑らせにくくするため、関節や脊椎への負担を減らし、健康にも効果が高いといわれています。
5.フロアコーティングの選び方
a.費用は長期にわたる効果を踏まえて考える
フロアコーティングの費用は一般的なワックスや塗装に比べて高価に感じる方も多いと思います。しかし、床の美観が劣化したり、短期間で補修が必要になったりする場合、初期費用は少なくても、補修のたびに家具の移動や乾燥工程で部屋を使うことが出来なかったりと不便なことも少なくありません。また、フロアの表面がコーティングされていると、掃除の手間が大きく軽減されます。水拭きや洗剤を使った清掃でも床材に影響を与えることがなく、表面についた汚れも簡単に落とすことが可能で、日々の家事の負担を減らすメリットは少なくありません。簡単な掃除で美観的にも衛生的にも優れた室内環境が得られるのです。
*コーティング会社によっては掃除に使える洗剤を指定している場合があります。
b.長期間の床材保護で家屋価値維持
一般的な床材は、日当たりや空気中の酸素によるに酸化、湿度や汚れによる菌の繁殖など、経年劣化は避けることは出来ません。フロアコーティングは、5年から10年。長いものでは20年の耐用年数を持つものもあります。長期間にわたり美観の維持や退色を防ぎ色むらの発生を抑えることが出来ます。床のリフォームは家具の移動や設計施工も必要となり、大掛かりな工事と費用が必要となります。フロアコーティングは床面の美観が保持されるだけでなく、汚れや水分によるカビの発生も起こりにくいため、住宅の劣化を防止することで、家屋の価値を維持することにつながります。
6.使い方やメンテナンスについて
a. フロアコーティングの掃除法
フロアコーティングは耐久性に優れた加工方法ですが、使い方によって耐久性に差が出てしまうことがあります。比較的硬度の高いコーティング面とはいえ、砂や硬いもので強くこすれてしまうと表面に傷が付いてしまいます。掃除の際は掃除機で吸い取り、その後にモップなどで拭くことで美観を維持できます。食事の食べこぼしなども床材に染み込むことはないため、簡単な拭き掃除で汚れをきれいに落とすことができるのはコーティングならではのメリット。各種洗剤などを使うことが出来るタイプもありますから、ペットの食べこぼしや粗相をした場合でも、フローリングを傷めることなく室内を清潔に維持出来るのです。
b. メンテナンス体制も確認しよう
フロアコーティングの耐久性は高くメンテナンスの手間を減らすことが出来る製品がほとんどとはいえ、家具の引き摺りや硬いもの、重量物を落とすなど、通常の使用では傷の付きにくいコーティング塗膜でも、長期の使用中には傷ついてしまうこともあります。また、床材の大きなたわみなどでヒビ割れが起こるケースも起こりえます。こんな場合、修復対応してくれるのか施工会社に確認しておきましょう。施工会社にもよりますが、再塗装や修正可能なコーティングもありますから、事前にアフターサービスも確認しておきましょう。一定の保証制度を備えていたり、修復保険制度を持つ施工会社もあるので、信頼の置ける会社を選びましょう。