「世界中のありがとうの物語を蓄積し可視化する」をパーパスとし、法人・個人向けコミュニティサービスを展開する株式会社オーケーウェブ(東京都港区、代表取締役:杉浦 元、以下「オーケーウェブ」)は、深刻化するランサムウェア攻撃の脅威に対し、その侵入経路の実態と一般ユーザーの防衛意識に関する調査(n=500人)を実施しました。
OKWAVEの投稿から読み解く、セキュリティ対策への意識の高まり
近年、ランサムウェアの被害件数は高止まりしており、企業活動に甚大な影響を与えています。
同時に、国内最大級のQ&Aコミュニティ「OKWAVE」においても、「ウイルスに感染したかもしれない」「身に覚えのない請求が来た」「セキュリティソフトはどれがいいか」といったセキュリティ対策に関する悩みや相談が近年増加傾向にあり、一般ユーザーの不安も高まっていることが伺えます。
こうした背景から、本調査では「企業の被害実態」と「個人の防衛意識」という2つの側面から脅威の実態を分析しました。
調査は、近年の国内外における企業のランサムウェア被害事例(※1)の分析と、一般ユーザー500名を対象としたセキュリティ意識に関するアンケート調査(※2)の二部構成で行いました。
その結果、企業が最も警戒すべき侵入経路と、一般ユーザーが「危険」と認識している経路との間に、深刻な「認識のギャップ」が存在することが明らかになりました。
(※1)IPA(情報処理推進機構)、警察庁、JPCERT/CC、海外CERT機関などが公開しているインシデントレポートを基に分析。
(※2)調査期間:2025年11月、調査対象:全国のインターネット利用者500名、調査方法:Webアンケート調査
調査結果サマリー
企業への最大の脅威は「VPN・RDP」
近年の国内・海外のランサムウェア被害事例を分析した結果、攻撃の主要な侵入経路(初期アクセス)は、「VPN機器の脆弱性」(約45%)と「リモートデスクトップ(RDP)」(約30%)を合わせて75%を占めました。
これらはテレワーク普及に伴い外部に公開されたITインフラであり、攻撃者にとって格好の標的となっています。
一般ユーザーの認識は「メール」に集中
一般ユーザー500名に「コンピューターウイルスの感染経路(複数選択可)」を尋ねたところ、「メールの添付ファイル・URLリンク」(約90%)が突出し、次いで「不正サイトや広告」(約80%)となりました。
企業への侵入経路として深刻な「VPN」や「RDP」は、ほとんど認識されていませんでした。
ランサムウェア認知度「知っている」8割、「仕組みも理解」は2割
「ランサムウェア」という言葉自体は約80%(「よく知っている」約20%、「聞いたことはある」約60%)が認知していました。
しかし、その仕組みまで理解している層は2割に留まり、脅威の具体的な内容が浸透していない可能性が示唆されました。
8割が「不安」だが、基本的な防御策が手薄
現状のセキュリティ対策について、全体の約80%が「不安を感じている」と回答しました。
しかし、具体的な対策(複数回答)を見ると、「ウイルス対策ソフトの利用」は約60%、「定期的なバックアップ」はわずか約30%に留まりました。
「不審なメールを開かない」(約80%)といった意識面の対策に比べ、技術的な防御策の実施率が著しく低い結果となりました。
調査結果ハイライト
1.企業への主な侵入経路:「外部公開機器の脆弱性」が7割超
近年のランサムウェア攻撃グループ(RaaSなど)による企業・組織への侵入事例を分析した結果、最も多く利用されている侵入経路は以下の通りです。
多くの企業が『従業員のメール開封』を最大の脅威と捉えがちですが、実態は異なることがわかりました。
近年の高度な攻撃グループは、まず企業の『入口』であるVPNやRDPといった外部公開サーバーの脆弱性を執拗に狙います。
ここを突破されれば、フィッシングメールを介さずとも、一気にネットワーク内部へ侵入されてしまいます。防御の焦点は『人』だけでなく『システム』にも当てる必要があります。
2.一般ユーザーの意識調査:「メール」への警戒が突出、セキュリティ対策に「不安」と「穴」
一般ユーザー500名へのアンケート結果からは、企業の被害実態とは異なる傾向が見られました。




狙われる「入口」と「意識」のギャップ
今回の調査で、ランサムウェア攻撃の「実際(企業の侵入経路)」と「一般の認識(アンケート結果)」には大きなギャップがあることが明らかになりました。
ギャップ1:【経路】 企業は「機器の脆弱性」、個人は「メール」を警戒
実際の企業被害は、VPNやRDPなど外部公開機器の脆弱性や設定不備を突かれるケースが最多(約75%)です。
しかし、一般ユーザーの意識は「メール(約90%)」に集中しており、システム的な脆弱性への認識が低いことが示唆されました。
ギャップ2:【対策】 8割が「不安」なのに、最も重要な「バックアップ」は3割
多くの人がセキュリティに不安を感じている一方で、ランサムウェア被害からの「最終防衛策」であるバックアップの実施率は約30%と極めて低水準です。
これは、攻撃を受けた際、身代金を支払うか、データを全て諦めるかの二択を迫られる企業・個人が多いことを示しており、非常に危険な状態です。
今すぐ取り組むべき「鉄壁の4防衛ライン」とは?
ランサムウェア攻撃は「たまたまメールを開いた一人の従業員」だけが原因ではありません。システム的な脆弱性と、従業員の意識の両面から対策を講じる必要があります。
そこで、今すぐ取り組むべきセキュリティ対策の鉄壁の4防衛ラインをご紹介します。
第1の防衛ライン:【入口対策】外部からの侵入を徹底的に防ぐ
攻撃者が最初に狙う「入口」を固めます。テレワークの普及により、VPN機器やリモートデスクトップ(RDP)が最大の標的となっています。
脆弱性管理の徹底(使用しているVPN機器やサーバーのセキュリティパッチを常に最新の状態に保ち、不要なポートは閉鎖する)や、多要素認証(MFA)の必須化(VPN、RDP、クラウドサービスなど、外部からアクセスする全てのアカウントに多要素認証を導入する)などを実施しましょう。
第2の防衛ライン:【端末対策】マルウェアの実行を阻止する
万が一、メールやWebサイト経由でマルウェアが侵入しても、実行させないための対策です。
まずは、信頼できるセキュリティソフト(アンチウイルス/EDR)を導入しましょう。アンケート結果では導入率が低い結果でしたが、これは必須の対策です。
既知のウイルスを検知する従来型アンチウイルス(EPP)に加え、未知の脅威や侵入後の不審な挙動を検知・隔離するEDR(Endpoint Detection and Response)の導入が、現代の企業防衛には不可欠です。
さらに、OS・ソフトウェアの最新化も実施するようにしましょう。これは全従業員・全端末で100%実施されるべき基本中の基本施策です。
第3の防衛ライン:【人的対策】「うっかり」を組織で防ぐ
従業員のセキュリティ意識は、依然として重要な防衛ラインです。「不審なメールを開かない」という意識は高いものの、攻撃は巧妙化しています。
怪しいメールを見分ける訓練を定期的に行い、IT部門へ即時報告する体制を構築することが重要です。
第4の防衛ライン:【復旧対策】被害を最小限に抑える
どれだけ防御しても、100%防ぎきることは不可能です。
攻撃されることを前提とした「復旧」の準備が、事業継続の鍵となります。バックアップを正しく、定期的に実施しましょう。
アンケートで実施率が低かったこのバックアップこそが、ランサムウェア攻撃を受けた際の「最後の砦」となります。
まずは、基本的な防御の徹底が最重要
今回の調査で、ランサムウェア攻撃の「実際(企業の侵入経路)」と「一般の認識(アンケート結果)」には大きなギャップがあることが明らかになりました。
さらに深刻なのは、多くのユーザーが不安を感じながらも、ランサムウェア被害の「最後の砦」であるはずのバックアップや、基本的な防御であるウイルス対策ソフトが徹底されていない実態です。
この「意識」と「実行」のギャップが、ランサムウェア攻撃成功の隙を与えていると考えられます。
企業は、基本的な防御策を最優先するとともに、従業員教育、そして万が一の事態に備えた「オフライン・バックアップ」の徹底が必要でしょう。
今回は、国内最大級のQ&Aコミュニティ「OKWAVE」において近年増加傾向にある「セキュリティ対策に関する悩み」をテーマに調査いたしました。
株式会社オーケーウェブは、今後も人々の疑問や不安に寄り添い、より実態に即した情報提供に努めてまいります。
▪️アンケート調査概要
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