ランサムウェア対策の要であるバックアップが「いざという時に失敗する」原因と対策を解説します。

本記事では、企業が陥りやすい「3-2-1ルールの不徹底」「エンドポイントデータの見落とし」「リストアテスト不足」といった具体的な失敗事例を深掘り。

Immutable Storageによるデータ保護や、Carbonite Endpointを活用した遠隔地バックアップなど、確実な事業継続のための実践的な対策と運用のコツをご紹介します。

目次

ランサムウェア対策に欠かせない「バックアップ」に悩む声

現代のランサムウェア対策において、「バックアップ」はもはや単なる保険ではなく、事業継続計画(BCP)の要となっています。

しかし、多くの企業がバックアップシステムを導入しているにもかかわらず、いざという時に失敗し、大切なデータを失う事例が後を絶ちません。

「バックアップは取っているはずなのに、なぜ失敗するのか?」
「失敗事例から学び、確実な対策を講じたい」

とお考えの企業のランサムウェア対策担当者様も多いでしょう。

OKWAVEにも、同じお悩みを持つユーザーから多くの質問が寄せられています。

この記事では、まずバックアップ失敗がもたらす深刻なリスクを解説します。

その上で、企業がバックアップ戦略において避けるべきよくある失敗事例を具体的に取り上げ、それらを確実に防ぐための実践的な対策をご紹介します。

最後までご覧いただくと、貴社のバックアップ体制を「失敗しない」堅牢なものへと進化させるヒントが得られるはずです。

バックアップ失敗がもたらす深刻なリスクとランサムウェア対策の重要性とは

現代のサイバーセキュリティ環境では、ランサムウェア対策なしに事業を継続することは困難とされています。

そして、そのランサムウェア対策の最終防衛線となるのが、正確で確実なバックアップです。

ランサムウェアによる攻撃を受けた際、データが暗号化されても、バックアップデータさえ無事であれば身代金を支払うことなく、事業を復旧できます

しかし、そのバックアップが失敗していた場合、企業は以下のような致命的なリスクに直面することになります。

ランサムウェア対策におけるバックアップの最後の砦としての役割

ランサムウェア対策の基本は、侵入防御、検知・対応(EDR)などの多層防御ですが、攻撃者がすべての防御をすり抜けてデータ暗号化に成功した場合、唯一の頼みの綱となるのがバックアップです。

バックアップが存在することで、企業はデータ損失を避け、システムをクリーンな状態に復元することが可能となります。

このため、確実なバックアップ体制の構築は、ランサムウェア対策において「機能回復の生命線」であると位置づけられています。

バックアップ失敗事例:データ損失が企業にもたらす影響

バックアップ失敗が引き起こす影響は、単なるデータの消失にとどまりません。

1.事業停止と経済的損失復旧に時間がかかり、その間の事業活動が停止することで、莫大な経済的損失が発生します。
2.信頼の失墜顧客データや取引履歴が失われれば、企業の信頼は回復不能なほど低下するとされています。
3.法的・規制上の問題保有する個人情報や機密データの消失が、コンプライアンス上の重大な違反となる事例もあります。

これらの影響を避けるためにも、バックアップの失敗を防ぐ対策は、企業の最重要課題の一つです。

企業が陥りやすいバックアップの失敗事例と具体的な対策

「バックアップは取っている」という安心感が、かえって大きな失敗を招くことがあります。

ここでは、企業がバックアップ戦略において見落としがちな失敗事例と、その対策を詳しく解説します。

バックアップ失敗事例 ①:3-2-1ルールの不徹底と対策

失敗の最も一般的な事例は、バックアップデータの場所が単一であることです。

ランサムウェアは、ネットワーク経由で接続されているバックアップデータも暗号化の対象とするため、バックアップ先にも注意してください。

失敗事例
 バックアップが同一ネットワーク内のサーバーや外付けHDDに保存されていたため、ランサムウェアの被害がバックアップデータにまで及び、全てのデータが利用不能になった。
対策
 「3-2-1ルール」を徹底することが必須の対策とされています。
  3:データのコピーを3つ持つ(オリジナルデータ+バックアップデータ2つ)。
  2:異なる2種類のメディアに保存する(例:HDDとクラウド)。
  1:1つはオフサイト(遠隔地やネットワークから物理的に隔離された場所)に保管する。

バックアップ失敗事例 ②:エンドポイントデータの見落としと対策

サーバーデータだけでなく、従業員のPC(エンドポイント)に保存されているローカルデータがバックアップの対象外になっている失敗事例も増えています。

リモートワークの普及により、機密データがPC内に分散しているためです。

失敗事例
 重要な営業資料が従業員のノートPCのローカルフォルダに保存されていたが、PCがランサムウェアに感染し、そのデータは消失した。バックアップ対策はサーバーのみに限定されていた。
対策
 サーバーだけでなく、PCやモバイルデバイスなど、エンドポイントのデータも自動的にバックアップする対策を行いましょう。
 Carbonite Endpointのような、エンドポイントに特化したバックアップソリューションの導入が効果的な対策として挙げられます。

バックアップ失敗事例 ③:テスト不足によるリストア失敗と対策

バックアップデータを取得することだけに終始し、「リストア(復元)ができるか」という検証を怠ったために、いざという時にデータ復元に失敗する事例は少なくありません。

失敗事例
 バックアップファイルの破損や、リストア手順の複雑さから、緊急時にデータ復旧に失敗し、予定より復旧期間が大幅に伸びた。
対策
 定期的なリストアテストをバックアップ対策のプロセスに組み込みましょう
 特に、年に数回は本番環境に近いテスト環境で、実際にデータを復元できるかを確認することが、失敗を防ぐ最も確実な対策とされています。

バックアップ対策の運用のコツと最新の防御策

バックアップの失敗を防ぎ、ランサムウェア対策として機能させるためには、適切な対策技術の導入に加え、運用のコツを押さえる必要があります。

バックアップデータ防御の要:Immutable Storage(変更不可能な保存)

最新のランサムウェアは、バックアップシステム自体を標的にし、バックアップデータを暗号化したり削除したりする手口を使います。

この脅威に対抗するための対策として、「Immutable Storage(イミュータブル・ストレージ:変更不可能な保存)」の活用が不可欠です。

これは、一度保存したバックアップデータを、設定した期間中は削除・変更できないようにする仕組みです。

この対策により、ランサムウェアによる不正な改ざんや削除からデータを守り、バックアップ失敗のリスクを極限まで低減できます。

遠隔地バックアップの自動化とCarbonite Endpointの活用

リモートワーク環境下では、従業員のPCデータが社内ネットワーク外に存在するため、従来のバックアップ手法では失敗しやすくなります。

この対策として有効なのが、クラウドを活用した遠隔地バックアップの自動化です。

例えば、Carbonite Endpointのようなソリューションは、インターネット経由でPCのデータを自動的かつ継続的にバックアップし、遠隔地(オフサイト)に安全に保管します。

これにより、従業員のPC紛失・盗難時のランサムウェア対策としても機能し、バックアップの失敗を未然に防ぎます。

RTOとRPOの設定による実用的なバックアップ対策の実現

バックアップ計画を立てる際のコツとして、RTO(目標復旧時間)とRPO(目標復旧時点)を設定することが重要です。

RTO:システム停止から許容される最長復旧時間。
RPO:許容できるデータ損失の最大期間(例:1時間前までのデータ損失は許容)。

これらの目標値に基づいてバックアップ頻度や手法を決定することで、単にバックアップを取るだけでなく、事業継続性(BCP)の観点から実用的な対策を実現できます。

「失敗しない」バックアップ体制で事業継続性を確保する

ここまで、バックアップ失敗がもたらすリスクと、ランサムウェア対策におけるバックアップの重要性、そして具体的なバックアップ失敗事例とその対策について解説しました。

バックアップの失敗を避けるためには、「3-2-1ルール」の徹底、Immutable Storageによるデータの保護、そしてエンドポイントデータの確実なバックアップが重要な対策の柱となります。

バックアップは「取っている」だけでなく、「確実に復元できる」状態を保つことが、事業継続のための運用のコツです。

具体的なランサムウェア対策製品を知りたい方へ

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