光回線の速度が遅くなる9つの原因と対処法
光回線の速度が遅くなる原因は、回線の混雑や通信方式などの9つあります。
速度が遅いと感じた際には、原因を特定して適切な方法で対処しましょう。
原因 |
対処法 |
利用者数が多くて回線が混雑している |
利用者の少ない回線・プロバイダに
切り替える |
IPv6ではなくIPv4に接続している |
PCの設定画面の
「ネットワーク」から設定する |
無線接続を使っている |
有線接続に切り替える |
スペックの低いLANケーブルを使っている |
カテゴリ6以上のモデルの
LANケーブルを使う |
LAN方式・VDSL方式を使っている |
光回線方式に対応した物件に引っ越す |
パソコン本体が故障している |
専門家にパソコンの依頼を出す |
Wi-Fiルーターをはじめとした
周辺機器が故障している |
Wi-Fiルーターを買い替える |
通信速度・帯域に
制限がかけられている |
P2Pアプリケーションを使わない |
通信障害が起きている |
通信障害が解消されるまで待つ |
それぞれの原因と対処法の詳細を見ていきます。
利用者数が多くて回線が混雑している
利用者数が多くて回線が混雑していると、速度が遅くなります。
回線の利用者は、時間帯と回線契約者の多さで変わります。
学校や仕事に行く人が多い時間帯は、光回線の利用者が少ないため、快適にインターネットが使いやすいです。しかし学校や仕事から帰って来る人の多い夜の時間帯は、光回線の利用者が増え、回線が混雑します。
またauひかりをはじめとした独自回線を使ったプロバイダは、回線契約者が少なく、夜の時間帯でもストレスなく通信しやすいです。しかし全国各地で使えるフレッツ光を使ったプロバイダは、回線契約者が多く、午前中でも回線がやや混雑します。
回線の混雑に悩む方は、利用者の少ない回線・プロバイダに切り替えましょう。夜間と午前中の通信速度を比較し、差が出ている場合は回線の混雑が原因である可能性が高いです。
IPv6ではなくIPv4に接続している
IPv6ではなくIPv4の通信規格に接続していると、速度が遅くなります。
IPv4とはインターネットが誕生した頃に生まれた通信規格で、IPv6は新たに生まれた通信規格です。
IPv4ではネットワーク終端装置を経由してインターネットに接続する「PPPoE方式」を採用しています。通信量が増えると終端装置に負荷がかかり、通信速度が遅くなりやすいです。
一方でIPv6は、直接インターネットにアクセスできる「IPoE方式」を採用しています。中継器に負荷をかけないため、IPv6のほうが快適にインターネットを利用できます。
通信規格はPCの設定画面から、「ネットワーク」の「イーサネット」を開きましょう。「インターネット プロトコル バージョン 6 (TCP/IPv6)」にチェックを入れ、アドレスの自動取得を選択すると、IPv6の通信規格に切り替わります。
無線接続を使っている
光回線を導入しても、無線接続を使っていると速度が大きく低下します。
無線接続は電波を使って通信しており、障害物で電波が弱まるため、障害物の影響を受けにくい有線接続より通信が遅くなります。またコンクリート構造をはじめとした物件では、電波干渉を引き起こしやすく、速度が低下しやすいです。
Wi-Fiルーターの無線接続を使ってパソコンを使っている場合は、有線接続に切り替えましょう。
スペックの低いLANケーブルを使っている
スペックの低いLANケーブルを使っていると、有線接続でも通信速度が落ちます。
LANケーブルは通信速度や伝送帯域などのスペックで、カテゴリが7つに分けられています。
LANケーブル |
最大通信速度 |
伝送帯域 |
カテゴリ8 |
最大40Gbps |
2,000MHz |
カテゴリ7A |
最大10Gbps |
1,000MHz |
カテゴリ7 |
600MHz |
カテゴリ6A |
500MHz |
カテゴリ6 |
最大1Gbps |
250MHz |
カテゴリ5e |
100MHz |
カテゴリ5 |
最大100Mbps |
最大1Gbpsの光回線・プロバイダを契約しても、カテゴリ5のLANケーブルを使うと、最大100Mbpsまでの速度しか出ません。
また伝送帯域はデータ伝送時に使われる周波数の幅で、数値が高いと素早くデータが伝送できます。
カテゴリ5eとカテゴリ6はどちらも最大1Gbpsに対応しています。しかし伝送帯域が異なり、カテゴリ5eだとデータ処理の遅さを感じやすいです。
有線接続に使うLANケーブルは、カテゴリ6以上のモデルを使いましょう。
LAN方式・VDSL方式を使っている
マンションで光回線を利用している場合は、契約中の物件で使える光回線の接続方式も確認しましょう。
マンションで使われている、光回線の接続方式は3つです。
接続方式 |
光配線 |
LAN方式 |
VDSL方式 |
最大通信速度 |
最大1Gbps |
最大1Gbps |
最大100Mbps |
仕組み |
光ファイバーケーブルのみで接続 |
電柱~共有部:光ファイバーケーブル
共有部~各部屋:LANケーブル |
電柱~共有部:光ファイバーケーブル
共有部~各部屋:電話回線 |
安定性 |
高 |
低 |
低 |
築年数の古い物件だと、かつての設備をそのまま使えるため、LAN方式やVDSL方式を採用しています。共有部から各部屋ではLANケーブルや電話回線を使っており、通信速度・通信の安定性が低下しやすいです。
一方で光配線は、すべて光ファイバーケーブルで対応でき、高速でデータが処理できます。
既存の物件で光配線方式に対応するためには工事が必要で、大家さんや管理会社が工事に応じない場合があります。LAN方式・VDSL方式しか使えない物件であれば、光配線方式に対応した物件に引っ越しましょう。
パソコン本体が故障している
パソコン本体の故障で速度が低下している可能性もあります。
回線にまつわる問題に対処して改善が見られない場合、まずはパソコンを再起動します。再起動しても通信速度が遅い際には、パソコンの修理や買い替えを検討しましょう。
Wi-Fiルーターをはじめとした周辺機器が故障している
パソコン以外に、Wi−Fiルーターをはじめとした周辺機器の故障で、速度が低下することもあります。
パソコンで有線接続、スマホで無線接続するためには、Wi−Fiルーターが必要です。ONUとWi−Fiルーターをつなぎ、ルーターと各デバイスを接続すれば、インターネットが使えます。
ONUには問題がなくても、Wi−Fiルーターが故障していると、通信が不安定になりやすいです。
パソコンと同様に、Wi−Fiルーターも修理や買い替えを検討しましょう。
通信速度・帯域に制限がかけられている
通信速度・帯域に制限がかけられて、速度が低下しているケースも見られます。
光回線は無制限で使えます。ただし一度に大量のデータを処理すると、プロバイダ側の判断で、通信速度・帯域が制限されることがあります。
たとえばP2Pアプリケーションと呼ばれるファイル共有ソフトを使う際には、大容量のデータ処理が必要です。大容量のデータ処理が確認された後に、一時的に速度制限がかけられます。
FPSオンラインゲームのプレイや高画質動画の視聴などの理由では、速度制限はかけられません。
通信障害が起きている
大規模な通信障害が起きていると、インターネットにアクセスできなくなります。プロバイダに通信障害が起きていることもあれば、光回線に通信障害が起きていることもあります。
通信障害が発生したら、状況が改善されるまで待つしかありません。別の回線を使用したスマートフォンやタブレットなどがあれば、SNSで検索をかけると通信障害が起きているか確認できます。
インターネットが快適に使える速度の目安
100Mbps前後の速度が安定していれば、ほとんどの用途で快適にインターネットが使えます。
しかしインターネットの利用用途ごとに通信速度の目安が異なるため、必要な通信速度を明確にしてから自分に合うプロバイダを選びましょう。
利用用途 |
速度の目安 |
webサイト閲覧 |
1~10Mbps |
SNS |
3~10Mbps |
動画視聴 |
5~25Mbps |
web会議 |
10~30Mbps |
オンラインゲーム |
10~100Mbps |
1つずつ見ていきます。
webサイト閲覧:1~10Mbps
webサイトの閲覧には、1〜10Mbpsほどの速度が必要です。
テキストだけのページの閲覧であれば、速度制限のかかったスマートフォンでも閲覧できます。しかし年々、アニメーションを入れたwebサイトも増えつつあるため、速度制限がかかっている状態だと、快適にwebサイトが閲覧できない場合もあります。
光回線で有線接続を使えば、webサイト閲覧に必要な速度が出やすいです。
SNS:3~10Mbps
SNSの閲覧には、3〜10Mbpsほどの速度が必要です。
テキスト中心の投稿であれば、SNSもwebサイト同様の通信速度で閲覧できます。ただし動画や画像に関する投稿は、10Mbpsほどの速度がないと読み込みに時間がかかりやすいです。
たとえばX(旧Twitter)は3Mbpsほどでも読み込みやすいですが、TikTokやInstagramだと10Mbpsほどの速度が求められます。
動画視聴:5~25Mbps
動画視聴には、5〜25Mbpsほどの速度が必要です。
低中画質の動画であれば、数Mbpsで動画が視聴できます。720pや1080pなどの高画質の動画だと、5Mbps程度の速度が出ないと、動画がカクついて自動的に画質が落とされます。
動画の画質 |
必要な速度の目安 |
360p(SD) |
0.7Mbps |
480p(SD) |
1.1Mbps |
720p(HD) |
2.5Mbps |
1080p(HD) |
5Mbps |
UHD(4K) |
20Mbps |
※詳細はYouTubeヘルプをご確認ください
ただし必要な速度を満たしていても、動画の読み込みに時間がかかるケースも多いです。通信速度を確認して、余裕を持って快適に視聴できる画質を選びましょう。
web会議:10~30Mbps
web会議には、10〜30Mbpsほどの速度が必要です。
画面に映る映像と音声を、リアルタイムで相手に届けるためには動画の読み込み以上の通信速度が求められます。遅延があると相手に迷惑をかけるため、web会議の前に通信速度をチェックしましょう。
なお相手の音声・映像の読み込みはダウンロード処理、自身の音声・映像の伝送はアップロード処理が必要です。ダウンロードは下りの速度で、アップロードは上りの速度が求められるため、速度の計測時には上り・下り両方の速度を確認しましょう。
オンラインゲーム:10~100Mbps
オンラインゲームのプレイには、10〜100Mbpsほどの速度が必要です。
画面の動きの少ないゲームは、10Mbpsでも快適にプレイできます。一方でFPSやTPSなどの動きの激しいゲームは、100Mbpsでもカクつきを感じることがあります。
プレイするゲームのジャンル次第で、必要な通信速度が大きく変化しやすいです。
FPS・TPSなどのゲームプレイを検討中の方は、料金以上に通信速度を重視した光回線・プロバイダ選びを意識しましょう。
プロバイダの速度に関するよくある質問
プロバイダの速度に関するよくある質問をまとめました。
・プロバイダの速度の実測値はどうやって調べられる?
・光回線全体の平均通信速度は?
・法人におすすめのプロバイダは?
プロバイダの速度の実測値はどうやって調べられる?
プロバイダの速度の実測値は、「みんなのネット回線速度(みんそく)」で調べられます。
みんそくとは対象の回線を利用する人のデータを平均化し、実測値の目安を確認できるサイトです。みんそくで調べたい光回線・プロバイダを入力すると、直近のデータに基づく実測値が表示されます。
なおみんそくを利用すると、ユーザーがチェックした時間帯・地域・住宅の種類・接続方法・接続方式なども確認できます。自身と同じ通信環境のユーザーの調査結果を参考にすると、実際に出る可能性の高い通信速度の目安が判断しやすいです。
光回線全体の平均通信速度は?
光回線全体の平均通信速度は、200〜300Mbpsです。
回線の混雑をはじめとしたトラブルが生じていなければ、どの光回線・プロバイダを使用しても、速度の遅さは感じません。しかし多くの光回線・プロバイダで、回線の混雑をはじめとした日常的な問題が起きているため、速度が低下してストレスを感じます。
安定して200Mbps前後の速度が出る光回線・プロバイダを選ぶと、速度低下によるストレスから解放されます。
法人におすすめのプロバイダは?
法人におすすめのプロバイダは、「So−net」です。
auひかりプロバイダのSo-netは、法人運営に必要なセキュリティ対策のサポートに力を入れています。
・ネット詐欺セキュリティソフト「詐欺ウォール」
・「ネットトラブル弁護士」費用保証
別途他社のセキュリティサポートを契約すると手間がかかります。プロバイダとセキュリティサポートを一括で契約できるため、シンプルに契約をまとめたい方はSo-netがおすすめです。
まとめ
プロバイダの速度についてまとめていきます。
・プロバイダはauひかりに対応したSo-netや@niftyなどがおすすめ
・利用者の混雑や通信方式などの問題で、プロバイダによって速度が低下する場合がある
・それぞれのインターネット利用に必要な速度が、安定して出せるプロバイダを選ぶ
光回線だけでなくプロバイダが、速度低下の原因となっている場合もあります。
利用者の混雑や通信方式などの問題で、プロバイダによって速度が低下する場合があります。まずは速度低下の原因を調べ、原因に合った対処をしましょう。
プロバイダの乗り換えが必要な場合は、必要な通信速度や現プロバイダの課題を整理し、目的に合うプロバイダを探してみてください。
筆者は独自回線で通信が安定しやすいauひかりと、1Gbpsプランで通信速度が安定しやすいSo-netや@niftyなどの契約がおすすめです。
契約する光回線・プロバイダで迷ったら、auひかりとSo-netや@niftyを選びましょう。
※この記事は2025年1月時点の情報です。